紫外線がヒトに与える影響 有用性と有害性(紫外線×熱中症読本)
紫外線がヒトに与える影響 有用性と有害性
UV-A
皮膚への影響
ゆっくりと、蓄積的かつ長期的なダメージをもたらす特徴があります。
皮膚の奥(真皮層)まで達し、コラーゲンやエラスチンなどのタンパク質を変性させ、
将来的なシワやたるみの原因となります。
一般的に視覚的に捉えられる老化の原因は、加齢によるものが2割で紫外線曝露による
光老化が8割といわれています。
アレルギーの原因となる
日光じんましんや多形日光疹(たけいにっこうしん)、薬剤性光線過敏症といった
『光線過敏症』の原因となります。
かゆみや発赤、むくみ感・熱感といった症状が現れます。
目への影響
UV-Aの65%は目の中の水晶体を通過し、網膜まで到達します。
炎症を引き起こし、UV-Bとともに充血の原因となります。
活性酸素
さまざまな細胞器官に影響し、活性酸素発生に関係します。
UV-B
皮膚への影響
夏にみられる“日焼け(サンバーン)”を引き起こします。
皮膚表皮層に影響を及ぼしますが、色素沈着だけでなく遺伝子(DNA)にも影響を及ぼします。
皮膚のサイクルによって1~2カ月後には浅黒い色が落ち着き
皮膚のダメージも修復されたと思われがちですが、
遺伝情報(DNA)の損傷の改善は簡単ではなく、日焼けの積み重ねにより修復が困難となり
皮膚がん前症状などの皮膚疾患に繋がる原因となります。
また、レーザー治療や形成外科的治療後間もない患部や傷跡は
創傷治癒の過程においてUV-Bへの曝露で色素沈着がおこり、傷跡が残ることがあります。
このタイミングでのUVケアはとても大切です。
目への影響
角膜炎・白内障
水晶体を通過しての網膜への到達は10%程度ですが、角膜への紫外線照射による
ダメージの蓄積は深刻で、白内障の主たる原因といわれています。
免疫系への影響
UV-Bの重要な特徴です。
目に見えないため理解度も低いとされています。
UV-BはDNAに影響を及ぼすため、過度な曝露により免疫機能が低下します。
日焼けをしたときに疲労感が強く出るのもこのためです。
皮膚に存在する免疫反応で重要な役割をするランゲルハンス細胞がダメージを受け、
免疫機能に影響を及ぼします。
外部からの異物に対して正確に反応できなくなるので、
ちょっとした“易感染状態”になることもあります。
口内炎などの口腔内トラブル,ニキビや傷の治りにくさなどの皮膚トラブル
長引く感冒症状やそこから引き起こされる合併症に至るまで、過度な紫外線曝露による影響が
ないとはいえません。
特に乳児,幼児,高齢者,免疫系の疾患を有する患者さん,抗がん剤治療中の患者さんなどは
紫外線の強い季節は気をつける必要があります。
紫外線の有用性
太陽光の有用性(良いところ)は上記に示したように、たくさんありますね。
その中で、紫外線の有用性についてご説明します。
ビタミンD生成
紫外線による人への恩恵といえば、ビタミンDの生成です。
紫外線にあたることで、皮膚ではビタミンDが生成されます。
そのことにより、カルシウムの吸収が促進され、骨や歯の形成などの成長につながります。
骨粗しょう症や関節の変形を予防するだけでなく、免疫系への影響にも関係するとされているビタミンDですので、とても大切な恩恵であるといえるでしょう。
どの程度あたればよいか
地球環境研究センターでは、一日のビタミンD摂取に必要な紫外線量を
グラフで提示しています。
地域の日照時間や紫外線量により異なりますが
夏の関東地方では、両手のひら10分程度で十分であるといわれています。
参照
株式会社ピーカブー
エポカル保健室