日焼け止めの「SPF値」が信用できない時代に、わたしたちは何を選ぶべきか

2026年3月、オーストラリアから衝撃的なニュースが届きました

オーストラリアの日焼け止め事情

オーストラリアの日焼け止め事情

人気の日焼け止め製品のSPF表示が、実際の測定値とまったく一致していなかった。
しかも、それは一部の粗悪品の話ではなく、ドラッグストアで普通に買えるブランド品も含まれていた——。

この出来事は「UVケアをどう信じるか」という問いを、世界に突きつけました。
そしてわたし自身も、あらためてEPOCHALが何のために存在するのかを、深く考えさせられました。

 

 

「SPF50+」は本当に50+だったのか

消費者団体CHOICEが2025年6月に公表したレポートは、業界に大きな波紋を呼びました。テストした20製品のうち16製品が、表示されたSPF値を実測で下回っていたのです。

中でも最も衝撃的だったのは、ある人気ブランドの製品がSPF50+と表示されながら、実際の測定結果がわずかSPF4だったという事実。「50+」という数字を信じて毎日塗り続けていた人たちは、ほとんど守られていなかったことになります。

この報告を受けてオーストラリアの医薬品規制当局(TGA)が調査を開始し、2025年末までに20製品以上が市場から回収されました。そして2026年3月、TGAはSPF規制の大幅な見直しについてパブリックコンサルテーションを開始。なんと「SPF50+」などの数値表示そのものを廃止し、「低・中・高・超高」といったカテゴリー表示に切り替える案まで浮上しています。

背景には、SPFテストの手法そのものへの不信感があります。現在の国際標準であるISO 24444では人体を使うin vivoテストが主流ですが、被験者の個人差、研究者による塗布量のばらつき、皮膚の赤みを目視で判断する曖昧さなど、「数値が安定しない」という構造的な問題が以前から指摘されていました。

「SPF50+」という数字は、思っていたほど確かなものではなかった——それが今、世界が直面している現実です。

 

 

日焼け止めに頼るしかない人たちがいる

このニュースを聞いたとき、真っ先に思い浮かんだのは、EPOCHALの製品を必要としてくださっているお客さまたちの顔でした。

色素性乾皮症(XP)という遺伝性疾患をご存じでしょうか。わずかな紫外線でも皮膚や目が損傷し、皮膚がんのリスクが健常者の数千倍にもなる難病です。患者さんは日中の外出が極めて困難で、日が沈んでから動く「夜型生活」を余儀なくされているケースも少なくありません。

光線過敏症のある方や、ループスなど光に敏感になる薬を服用されている方も同様です。こうした方々にとって、UVケアは「美容の話」ではなく、「生活が成り立つかどうか」の話。日焼け止めのSPF値が信用できないというニュースは、わたしには他人事では聞けませんでした。

ただ、それ以上に感じたのは、こうした方々に対して「完全に信頼できるもの」を届けたい、という気持ちの強さでした。

 

なぜわたしはウェアを作るのか

EPOCHALは、日本で唯一、全年齢層を対象とした総合UVカットウェアブランドとして24年間続いてきました。

わたしが「ウェア」にこだわるのには、理由があります。

日焼け止めは、塗り方・塗る量・塗り直しのタイミングによって、効果が大きく変わります。それ自体は間違ったことではないのですが、UV防護を「人の手技」に完全に委ねるのは、リスクがあると感じています。特に、絶対に紫外線に当たれない方にとっては。

一方でウェアは、着ている限り一定のUVカット性能を発揮します。洗濯による劣化はありますが、基本的には「着れば守られる」構造です。EPOCHALが採用するEPOCHTEX™という独自素材は、酸化チタンを練り込んだ繊維と特殊なドレープ織りによって、Kaken(日本化学繊維検査協会)の認証で100%UVカット率を実現しています。これはオーストラリアの政府認定試験機関でも検証済みの性能です。

「数値が信頼できるかどうか」という問題は、わたしたちには無縁ではありません。だからこそ、第三者機関による客観的な認証にこだわり続けています。

エポカル UVカットウェア

エポカル UVカットウェア

 

機能だけでは、人は着てくれない

でも、機能性だけを追いかけていたのでは、わたしのものづくりは完成しない、とずっと思ってきました。

XPの患者さんやそのご家族から、こんな声をいただいたことがあります。「黒づくめで完全防備の格好しかできなくて、外出するたびに視線が気になる」「子どもが自分の服を恥ずかしいと言うようになってしまった」

その言葉は、今でも胸に刺さっています。

守ることと、その人らしくいることは、両立できるはずだ。

EPOCHALのウェアを作るとき、わたしはいつもこのことを考えています。薄くて軽く、長く使えること。着るだけで守られること。そして、「これを着ているから守られている」ではなく、「これが好きだから着ている」と感じてもらえるデザインであること。

シンプルで、余計な主張をしない。けれどもその人の個性を壊さない。機能性とデザイン、この二軸のどちらかを妥協したくない——そのこだわりが、ときに開発を大変にするのですが、それがエポカルの製品づくりの核心です。

 

色素性乾皮症のためのファン付きUV防護服 Sun-protection clothing for XP

色素性乾皮症のためのファン付きUV防護服
Sun-protection clothing for XP

毎日毎晩、考え続けている

正直に言えば、開発はわたし一人でやっています。

お客さまから届く声、患者会のみなさまとの対話、医療機関からのフィードバック。それらをすべて受け取って、素材とデザインと機能をどう組み合わせるか、毎日毎晩考え続けています。

「こだわりすぎかもしれない」と思うこともあります。もっと割り切れば、もっと早く、もっとたくさん作れる。でも、UVに全く当たれない人にとっては、一枚の服が生活を左右する。その重さをわかっているから、妥協できません。

EPOCHALの製品を手に取ってくださる方が「買ってよかった」と思えるかどうか——それだけが、わたしの開発の基準です。

株式会社ピーカブー 代表取締役 松成紀公子

 

SPF値の信頼性が揺らぐいま、選ぶ基準を変えてみてほしい

日焼け止めを否定したいわけではありません。塗布系のUVケアとウェアは、補い合うものです。

ただ、今回のオーストラリアの事態が教えてくれたのは、「数値を信じる」ことと「本当に守られている」ことは別だ、ということ。UVケアを真剣に考えるなら、なぜその製品が信頼できるのか、どんな根拠があるのかを問う目を持ってほしいのです。

わたしが作るEPOCHALのウェアも、「信じてください」ではなく、「こういう根拠があります」をお伝えできるよう、認証・検証・情報公開にこだわっています。

紫外線の脅威は、XP患者さんだけのものではありません。誰でも、年齢とともにUVダメージは蓄積されます。肌を大切にしたい人、子どもを守りたい人、外で活動したい人。EPOCHALのウェアが「ちゃんと役に立つ一枚」として、そういう方の暮らしに届いてほしい。それがわたしの願いです。

エポカル UVカットウェア

エポカル UVカットウェア

 

おわりに

「買ってよかった」と思える一枚を。

この言葉がEPOCHALのすべてです。

SPF値という「数字の安心」が揺らいでいる今だからこそ、本当の意味でのUVケアを一緒に考えていただけたら嬉しいです。

 

EPOCHAL 代表 松成紀公子

株式会社ピーカブー / EPOCHAL(エポカル)

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