日本の紫外線は本当に増えているの? (気象庁の長期観測)


まとう木陰
E P O C H A L

「昔より日差しが強くなった気がする」。そう感じている方は多いのではないでしょうか。

これは気のせいではありません。気象庁は茨城県つくば市で1990年から紫外線を測り続けており、そのデータは、地上に届く紫外線が長い目で見て増えていることを示しています。

この記事では、気象庁と環境省が公表している資料をもとに、「どのくらい増えたのか」「なぜ増えたのか」「私たちは何をすればいいのか」を整理します。数値はすべて2026年10月時点で公表されているものです。

気象庁のデータが示す「紫外線の増加」

気象庁は、紫外線が人の肌に与える影響の大きさを表す「紅斑(こうはん)紫外線量」を観測しています。つくばで1年間に降り注いだ紅斑紫外線量の合計は、1990年の観測開始から10年あたり34.1kJ/㎡のペースで増加しています。気象庁はこの増加を、信頼水準99%で統計的に有意としています。

つまり、年ごとの天候によるばらつきを考えても、「たまたま」とは言いにくい増え方だということです。

近年の数値も見てみましょう。下の表は、つくばの1日あたりの紅斑紫外線量を、年平均で比べたものです。

年 年平均(kJ/㎡) 参照値との差
参照値(1994〜2008年の平均) 1.84 ―
2021年 2.01 約9%多い
2022年 2.06 約12%多い
2023年 2.24 約22%多い
2024年 2.05 約11%多い
2025年 2.15 約17%多い

出典:気象庁「日積算紅斑紫外線量の月平均値の数値データ表(つくば)」。「参照値との差」は同表の数値から計算。数値は気象庁の見直しで変わることがあります。

紫外線は、だんだん増えている  エポカル

紫外線は、だんだん増えている  エポカル

 

同じ表を1997年までさかのぼると、2007年以降は毎年、参照値を上回っています。一時的な多い年があったのではなく、多い状態が続いているのです。

原因は「オゾン層の破壊」ではなかった

紫外線が増えたと聞くと、多くの方がオゾン層の破壊を思い浮かべます。ところが、日本で観測されている増加は、オゾン層だけでは説明できません。

気象庁によると、つくば上空のオゾンの量は、1990年代から2000年代前半にかけて緩やかに増え、近年ははっきりした増減が見られません。紫外線をさえぎるオゾンが減っていないのに、地上の紫外線は増えているのです。

気象庁は、増加の背景としてエーロゾル(大気中に浮かぶ細かいちり)が減ったことの影響を挙げています。環境省の報告書も、雲の量とエーロゾルの減少が主な原因と考えられるとしています。

エアロゾルとは

気体の中に、液体や固体のとても小さな粒が浮かんでいる状態のことです。日本エアロゾル学会は「気体中に浮遊する微小な液体または固体の粒子と周囲の気体の混合体」と定義しています(日本エアロゾル学会)。

気象庁は同じものを「エーロゾル」と表記し、「空気中に浮遊するちりなどの固体や液体の粒子」と説明しています(気象庁)。

基本

感染症との関係

  • 飛沫との違い: 飛沫は一般に直径5μm以上で、水分の重みで口から1〜2m以内に落ちると推定されます。エアロゾルは軽いためすぐには落ちず、しばらく空気中を漂います(ワーカーズドクターズ)。
  • エアロゾル感染: ウイルスを含むエアロゾルを吸い込んで感染することです(新型コロナウイルス感染症対策分科会 2022年7月14日)。
  • 対策: 同じ提言は、エアコンの使用で換気が不十分になる夏場に、換気の重要性が再認識されているとしています(同上)。

環境・健康への影響

  • 大気汚染: PM2.5は大きさが2.5μm以下の粒子です。喘息や気管支炎などの呼吸器系への影響のほか、肺がんのリスク上昇や循環器系への影響も懸念されています(環境省 PM2.5に関するQ&A)。
  • 気候(冷やす働き): 太陽の光を散乱・吸収して地上に届く日射を減らし、気温を下げる「日傘効果」があります(気象庁)。
  • 気候(すす): すすなどの粒子には、光を吸収する性質があります(国立環境研究所)。
  • 雲への影響: 雲粒の核になり、雲の性質を変えます(気象庁)。

同じ報告書によれば、大気中の浮遊粒子状物質の全国平均濃度は、2018年度には1990年度と比べて、道路沿いで3分の1以下、一般の住宅地などで2分の1以下に下がりました。空気がきれいになった分、紫外線をさえぎっていたちりも減り、紫外線が地上まで届きやすくなったと考えられています。

ただし、雲、エーロゾル、天候のそれぞれがどの程度影響しているかは、まだ数字では明らかになっていません。

オゾン層については、こちらの記事もご覧ください。
オゾン層とはどんなもの?

札幌でも増加、那覇では増加傾向なし

気象庁は以前、札幌と那覇でも紫外線を観測していました。この2地点の観測は2018年1月に終了し、現在も続いているのはつくばだけです。

環境省の報告書(令和4年度監視結果)は、観測期間中の傾向を次のようにまとめています。

地点 1990年代初めからの傾向
札幌 10年あたり3.3%増加(統計的に有意)
つくば 10年あたり4.1%増加(統計的に有意)
那覇 統計的に有意な増加傾向は見られない

出典:環境省「令和4年度監視結果(太陽紫外線)」

増え方には地域差があり、全国どこでも同じように増えているわけではありません。それでも同報告書は、3地点とも1990年代初めより紫外線量が多くなっているとしています。

季節で見ると、5月はすでに「真夏の8割」

増えた紫外線とどう付き合うかを考えるうえで、季節ごとの量を知っておくと役に立ちます。つくばの参照値(1994〜2008年の平均)を月ごとに並べると、次のようになります。

月 1日あたり(kJ/㎡) 月 1日あたり(kJ/㎡)
1月 0.73 7月 3.15
2月 1.08 8月 3.09
3月 1.52 9月 2.18
4月 2.14 10月 1.43
5月 2.58 11月 0.88
6月 2.62 12月 0.65

出典:気象庁「日積算紅斑紫外線量の月平均値の数値データ表(つくば)」参照値

この表から、3つのことが読み取れます。

5月は8月の約8割。まだ涼しく感じる5月に、真夏に近い量の紫外線が届いています。

4月と9月はほぼ同じ。9月は残暑で対策を続ける方が多い一方、4月は油断しがちです。量はほとんど変わりません。

冬もゼロにはならない。最も少ない12月でも、7月の約5分の1が届いています。

暑さを感じてから対策を始めるのでは遅く、春先から始めるのが理にかなっています。

増えた紫外線に、私たちができること

紫外線の量そのものを、個人で減らすことはできません。できるのは、浴びる量を自分で調整することです。子供のための紫外線対策協会は、次の「紫外線対策5か条」を提案しています。

1. 日陰を利用しましょう
2. 外出時間は、日差しの強い10時〜14時を避けましょう
3. つばの広い帽子をかぶりましょう(大人は7cm以上、子供は5cm以上)
4. 長袖のUVカットウェアを着用しましょう
5. 衣類でカバーできない日焼けしやすい場所には、UVカットクリームを塗りましょう

その日の紫外線の強さは、気象庁などが公表している「UVインデックス」で確かめられます。見方はこちらの記事で詳しくご紹介しています。
UVインデックスを知って安全に楽しむ!紫外線対策の完全ガイド

紫外線が増えている今だからこそ、外に出ることをあきらめるのではなく、守りながら外で過ごす方法をお伝えしていきます。

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出典

気象庁「紅斑紫外線量の経年変化」(令和8年3月30日更新)
https://www.data.jma.go.jp/env/uvhp/diag_cie.html
気象庁「日積算紅斑紫外線量の月平均値の数値データ表(つくば)」
https://www.data.jma.go.jp/env/uvhp/cie_monthave_tsu.html
環境省「令和4年度監視結果 第3部 太陽紫外線の状況」
https://www.env.go.jp/content/000205593.pdf

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エポカルは、株式会社ピーカブーが企画・製造・販売する紫外線対策ウェアのブランドです。2002年、わが子のアトピー診断をきっかけに、子どもを紫外線から守る1枚を作ることから始まりました。

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