通学帽子の開発

未来を担う子供たちを守る次世代通学帽子の開発

渋沢mix オープンイノベーションプログラムでのご報告と共創プロジェクトについてデモデーのご報告

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3WAY&マルチガード通学帽

3WAY&マルチガード通学帽

 

渋沢mix

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登下校中の子供が直面する危険は、日焼け・熱中症・そして怪我の3つだ。
警察庁のデータ(2018〜2022年)によると、通学中の小学生は5年間で約3万人が交通事故で怪我をし、死亡・重傷者は2,000人以上とされる。特に1年生(7歳)に事故が多く、朝夕の通学時間帯に集中している。日本では子供たちが大人なしで集団登校する慣習があるため、リスクは一層高まる。

この課題に正面から向き合い、小学生の通学帽子の開発に取り組むのが、ワエストロ株式会社と株式会社ピーカブーだ。

埼玉・熊谷市に拠点を構えるワエストロは、「ウレタンRIM成形ならワエストロ」の看板を掲げ、世界初となる特許技術を複数保有する。一方、共創パートナーとなったピーカブーは紫外線対策ウェアの開発・販売を24年にわたって手がけてきた企業で、難病患者向けのUV防護服から医師・科学者と共同研究した機能性ウェアまで幅広く展開している。

すでに、遮熱・UVカット・軽量ヘルメット内蔵という3つの機能を備えた通学帽子を開発・販売しており、学校関係者や子供たちからの評価は高い。さらに両社は、さらなる高い安全性と高断熱性付与による機能面の向上といったワンランク上の通学帽子を作るため、安全基準を満たし事故賠償のついた新しいインナーヘルメット製品制作で「SGマークの取得」を目指す。現行品のインナー素材は、80gと軽く頭頂部への耐衝撃性には優れるものの、前頭部・側頭部・後頭部への衝撃に弱く、また、現行の硬質プラスチック素材のままではSG基準をクリアできない。

そこで、ワエストロが得意とする軟質発泡ウレタン素材を活用したヘルメットインナーの開発に取り組んだ。プロジェクトは現状把握からスタートし、ウレタン材料の設計および処方組みからその物性評価、デザイン協議、CADデータ作成、3Dプリンターによる形状確認、金型製作と着実にステップを踏み、現行品とほぼ同重量のプロトタイプ成形品がが完成した。

すでに日本学校保健会を通じた全国4万校へのPRも行っており、今後はSGマーク申請と特許出願を進め、埼玉・東京・千葉・神奈川のPTA、教育委員会、学用品販売会社への働きかけを皮切りに、全国展開を目指す。さらに将来は小学生にとどまらず、年配者・幼稚園児・障害を持つ人・スポーツ愛好者など、幅広い層への展開も視野に入れている。

取材後記

今回紹介した3つの共創プロジェクトを通して印象的だったのは、異業種連携の価値がアイデアの組み合わせにとどまらず、具体的な突破口を生み出している点だ。

例えば浜屋とI-S3の取り組みでは、中古太陽光パネルの品質問題を“検査”ではなく“運用”で解決するという発想の転換が示された。エアデジタルとシンコースポーツのプロジェクトでは、デジタル技術によって体力測定そのものを「楽しい体験」に変え、子どもの運動習慣に新しい可能性を提示している。

そしてワエストロとピーカブーの協業では、素材技術とUV対策の知見が融合することで、通学帽子という身近な製品に安全性という新たな価値が加わった。企業が持つ強みが互いに補完されることで、社会課題の解決とビジネスの可能性が同時に立ち上がる。そのプロセスこそが、Canvasという共創の場の醍醐味なのだと感じた。

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